« 光軸調整治具の紹介(ε180ED/GS200RC) | トップページ | 天体画像の初見診断 »

2013年7月 2日 (火)

天体写真処理の指導について考える

画像処理カテゴリーの記事は4月以来。

M8m20

以前、天体写真の評価方法は減点方式と言いましたが、よりシビアに見るなら掛け算で出す方が現実的のような気がする。
例えば、①空・気象条件 ②ピント ③ガイド ④光軸 ⑤画像処理  ⑥プリント みたいに評価項目を分け、
それぞれ①~⑥の乗算値で算出すれば、結果相応の点数になるように思います。
このうちどれが1つでも0点だと、たちまち全体が0点になってしまう…これが天体写真の難しい部分でしょう。

これら⑥つの分類の中で、個人的に難しいと思われるのは④と⑤。
特に⑤は経験値や感性みたいなものが問われ、なかなか習熟が難しいとされている。
この部分に阻まれた結果天体写真から去っていく方々を見るにつけ、僕はこの技術を問題視してきた。

フローやレシピを公開しても、それはベテランが何十・何百通りの中での1手を見せたに過ぎず、英会話同様、
1文や2文を丸暗記したところで実際の会話は成立しないのだ。

過去に何度も講演などをやってきたが、「聞いたけど、分からない」という方が結構多数に
及んだ。もとから興味がないのか、それとも飲んで忘れてしまったのか。
そもそも、手順の1つを見せ、それを覚えさせようとするのは正しい教え方なのか?
とも反省したりする。僕の教え方にも問題があるのだろう。

ただ、写真を扱う趣味だけに、もっと根源的な部分を説いていかねばならないのではないだろうか。
コマンドやフローを語ることばかりが、天体写真処理の指導なのだろうか。
ベテランが100や1000のコマンドやフローを解説し、それを暗記させるのではなく、むしろ
写真の成り立ちとなる抽象的な何かを悟ってもらうことで、100や1000の技術が一挙に浸透することだってあるはず。


概念的・抽象的・精神論的な話に傾倒しすぎるのも良くないが、そういうアプローチが何らかの鍵を握っている気がする。
音ゲーの連続打鍵の丸暗記でつちかったピアノ奏法は、果たしてヒトを感動させるのだろうか。
本物のピアノ奏者(アーティスト)は、丸暗記云々ではなく何か天から下りてくる神がかりなものに憑依され、
そのエネルギーをあたかも内面から発しているようにさえ見える。

以前僕は、「技術とは色々な手法を手癖になるまで反復練習し、その呪縛(意識)から抜け出したとき(忘れたとき)
に初めて自分のものとなる。」と言いました。
その理屈とはある部分で矛盾してしまうのでしょうが、これはこれで真理ではないかと。

写真へのリスペクト(敬意)なしに天体写真家の大成は有り得ないはず。

|

« 光軸調整治具の紹介(ε180ED/GS200RC) | トップページ | 天体画像の初見診断 »

画像処理」カテゴリの記事

コメント

とても「写真へのリスペクト(敬意)なしに天体写真家の大成は有り得ないはず。」という境地にはほど遠い私としても、この記事は共感がもてます。
日本の英語教育が会話はできないのにやたら難しい文法は知っているといる人を大量にそだてているように、フローだけの説明では同じことになりかねないと思います。
ただ、撮影の目的も人様々で、もちろんみんな綺麗に明瞭に撮影したいという思いは変わりませんが、撮影対象や方法が様々なように目的も様々でありますので、概念的な話の骨格となる部分が難しいですね。


でもその一方で、私のような初心者は、1つのフローをビデオで解説していただけるだけで、いままで他の方のブログの解説記事を見ても、理解しきれなかったことが、乗り越えられた部分がかなりあります。
「技術とは色々な手法を手癖になるまで反復練習し、その呪縛(意識)から抜け出したとき(忘れたとき)に初めて自分のものとなる。」全くその通りで、ビデオを見ながら、同じフローを自分でやってみて、理解し、次にそれを実際に使ってみると、判らないところがあるので、またビデオを見かえして、なんていうことを繰り返してようやく1つのフローがある程度つかえるようになりました。
あきらかにフローの説明で救われてます。その点でも、フローの説明・指導も是非続けていただければ助かります。


投稿: いーぐる | 2013年7月 3日 (水) 01時00分

いーぐるさん、こんばんは。
画像処理は、どうしてこんなに難解なんでしょうね。
僕はパソコン処理技術よりも撮影技術で競ってこそ、
と感じることが多々あります。
けど、いーぐるさん。画像処理はやっぱり避けて通れない
のがまた現実ですね。
教える側として立たせて頂いた身としては、何らかの成長
の効果こそがささやかな報酬と思ってますが、悲しいかな
なかなかそういった手応えがない、というのが経験値です。
むしろ、僕があれこれビデオでややこしい技巧を説けば
説くほど写真入門に際し難解な固定観念を植えつけてしま
っているかもしれませんよ。難解な英文法が生徒に与える
イメージと同じですね。

いーぐるさん、難解な英文法を説くよりも、実際の英会話
を実況した方がよりストレートかもしれませんね。
例えば、いーぐるさんが悩む画像を僕が拝見し、その瞬間
どんなことを感じ、どういった直感をもって補正にかかる
のか?みたいなビデオです。
できる限り、僕が事前に知り得ない無用意な状況が欲しい
のです。

syoshi-さんにも相談してみます。
コメントありがとうございました。


投稿: よっちゃん | 2013年7月 3日 (水) 01時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1783984/52283752

この記事へのトラックバック一覧です: 天体写真処理の指導について考える:

« 光軸調整治具の紹介(ε180ED/GS200RC) | トップページ | 天体画像の初見診断 »