« 天体写真の魅力は撮影現場にある | トップページ | 大津科学館でプリント展示 »

2013年3月22日 (金)

シャープ系処理の三要素について

シャープ系処理の3要素について

輪郭強調とか、シャープネス処理とかシャープ処理っていいます。
これらの要素は、大きく3つあります。
ひとつは、輪郭強調。
その名の通り、まさにエッジを強調してくっきりシャープにする処理ですね。
僕がみる限り、シャープ系処理は皆さん、殆どがこれを目的にしていると思います。
輪郭強調は確かに有効です。ただし、当たり前ですが過度の使用は禁物です。
画像復元もそうですが、結局のところ、階調性やざらつきと引き換えなんですよね。
具体的に言うと、鑑賞者がどれぐらいの距離でその作品を見るか?
そこなんですよね。
それこそがこの輪郭強調という処理の見極め手段だと思っています。
たとえば自分自身だけがその作品に満足したいんだったら、普段自分がプリントを鑑賞する
間合いで不自然さが見えてこない数値までシャープを利かせればいいんですよね。
今度は他人をターゲットに置く場合はこうです。
鑑賞者が手に取ってそれを見るのか。
それともフォトコン選者じゃないけど、机に色んな写真を何枚も並べてそれを上から見下ろ
すのか。
もしくは写真展とか、ある程度の鑑賞距離を保って眺めるのか。
他人を意識するんであれば、この処理はとにかく「鑑賞距離」を重視すべきだと思います。
逆に、そこさえ意識が明確だったら、おのずと輪郭強調のかけ具合は決定してくることかと
思います。

二つ目に、コントラスト処理。
トーンカーブやレベル補正では得られない効果を、シャープ系処理によってもたらすことが
出来ます。俗に言う、ローカルコントラストですね。
半径値を1桁2桁デカく与えてやるんですよ。
そうすることによって、明・暗の階調にうねりを出すことが出来ます。
例えば、音楽のドレミファで言うと、ドレミファミレ・ミファソラソファみたいな感じで
す。つまりシャドウから飽和に至るまでの起承転結が、より複雑になります。
ただし、この処理も輪郭処理と同様、素材に強いダメージを与える処理なので注意が必要で
す。

三つ目に、意外と知られていないのが、「被写体の距離感調整効果」です。
天体写真の中では、輝星とか中間輝星とか微光星とかって呼んでますが、これらの距離感の
バラツキを一定レベルに圧縮させてやる処理こそが、シャープ処理の極意だと僕は思ってい
ます。
具体的には、撮ったままの状態ではたいてい、明るい星ほど輪郭がはっきりして近距離に見
え、微光星ほどぼやけて遠くに見えます。
これはある意味「写りの真実」と言えばそうなのかもしれませんが、鑑賞という観点からす
ると、この大きすぎる距離間の差が全体的な視認性を悪くしているんです。
結果として、作品全体を見渡したときの統一感というか一体感に欠ける作品になるわけで
す。
ラーメンの味に例えると、チャーシューや麺・スープのそれぞれ単独ではすごく美味しいの
に、全体を味わったときに何かしっくりこないという状態でしょうね。
逆に、単独ではそこまで良いと思わないのに、全体を味わってみるとなぜかイイ感じ、これ
なんでだろうという状態があるんですよ。
これは、単にその素材のエッジを引き出してるからそうなるんじゃないんですよ。
むしろ、輪郭強調を与えずして人に「イイ感じの一体感」を演出する方法だってあるはずな
んですよね。つまり、人間の視覚の特性を熟知した上での処理ってことですね。
単純にシャープをかけまくるだけなら、誰にだって出来るんです。
距離感の違いを「バラツキである」と認識し、それを一定レベルに圧縮することでイイ感じ
に出来るということだけ、覚えておいて下さい。
弱い処理で最大の効果を与える、これが極意じゃないかなと思います。
デジタルにはかならず何かしらの仕掛けやトリックがあるんですよ。
神がかりなものなんて、何もないんですよね。
鑑賞者の視覚を発信者側からコントロールしてやるぐらいのことが、習得次第では可能にな
ってくると思います。

以上、シャープ系処理の3要素でした。

|

« 天体写真の魅力は撮影現場にある | トップページ | 大津科学館でプリント展示 »

画像処理」カテゴリの記事

コメント

シャープ処理はほんと奥が深いと思います。
どの時点でどのように掛けるか?
掛け方で幾分かわってしまうし、レベル補正の255を左に寄せるのと同じで、あとで取り返しがつかないですからね。
どうしても階調は失われる方向に走ってしまうので最近は掛けない方向でいますが、何か良い方法はありますか?
逆にぼかしの被害と似てて、微光星が歪になるんですよ。
キリッとシャープで、それでいてバックは滑らか…
その両立が難しくて辿り着けません。
う~ん難しい。。

投稿: slo | 2013年3月25日 (月) 21時53分

sloさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

シャープ処理ほど、素材に与えるダメージが強い処理はないと言っても過言ではないぐらいですね。
非可逆的なので、余計に慎重になってしまいますね。
僕の焦点では画像復元は不要なので、余計に最終処理でそれを施すようにしています。
この点では、sloさんと同様ですよ。後がけしかないでしょうね。

シャープネスはやっぱり、モニターを信じないということでしょうか。
印刷の紙とモニターは、そこらが大きく異なるのでしょうね。
もうちょっとモニターの解像度が今後高い(=密度が高い)方向に行ってくれれば、と思いますね。
MacBookPro Retinaの解像度は、そういう意味では良いですよ。

微光星が歪になるのですか。
その逆は経験ありますが、ガイドミスとかでしょうか?
sloさんのこの間の画像は、そこらを上手に引き出していて見事ですね。
ほとんど言うことがないぐらい、完成度が高いと感じました。

投稿: よっちゃん | 2013年3月26日 (火) 23時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1783984/50877666

この記事へのトラックバック一覧です: シャープ系処理の三要素について:

« 天体写真の魅力は撮影現場にある | トップページ | 大津科学館でプリント展示 »